Netflixオリジナル懇親の一作「全裸監督」を観た。 作品リンクはこちら
ここ最近Netflixを開くとずーっと一番上でレコメンドしてくるし、テーマも面白そうだったので観なきゃとは思っていた。
満を持して見始めたら、さすがの傑作で一気に1時間弱×8話を観終わってしまったので感想を書こう。
全裸監督。このためにNetflix入っても見る価値ありの作品である。
村西とおる氏の実話エピソードがすごすぎる件
私は恥ずかしながら村西とおる氏のことは何も知らなかったので、前提知識ゼロの状態で臨んだ。
そして観終わったあとに気になって村西とおる氏のことを色々と調べてみた結果、謎の現象が起きていたころがわかった。
全裸監督の最初に「実話をもとにしたなんやかんや」という一文が出てきていたので、全裸監督が実話ベースだということは理解していたが、
作中に出てくるエピソードのトンデモ具合がすごくて、「さすがにここはフィクションだろうな」となんとなく思っていた部分がことごとくガチのエピソードだとわかったのには驚いた。
特に「ハワイで意味のわからない作品を作りに行ってFBIに捕まって懲役370年」とかは、トンデモすぎて半笑いで観てしまっていた(笑)
そう、実話がおかしすぎてノンフィクションのドラマ側が逆にチープに感じてしまうという謎現象が起きていたのだ。
普通は、実話に刺激が足りなくてドラマをデフォルメするじゃん? この逆転はわらうわ(笑)
物語としての欠陥
全裸監督、たしかに面白いんだが、にしても8話は結構長い。
1話1話の作品の雰囲気や重みがドラマよりは映画寄り。
特に第1話の終わりのところでは、映画観終わったときの感覚になる。
それくらい1話は特に重厚で面白い。
英会話教材のセールスでのダメ男からトップ営業マンに変貌して駆け上がっていくシーンは、映画でよくある 敗北⇒修行⇒勝利 の流れを感じさせる。
そこからのビニ本編は、営業編からの繋がりが視聴者に興奮を呼び、一気に駆け抜ける。
しかし中盤に入ると少しずつダレてくる。
池沢に潰されるくだりなんかは、だらだらしてて鬱陶しい。
彼が仮想敵としての役割なんだが、いまいちしっくりこない。
池沢に対する村西のスタンスがハッキリしないことも、痛快さを感じさせない要因になっている。
池沢に対するというか、全体的に村西はどうしたいのか、何を考えているのかが中盤以降あらわれなくなっているように感じた。
たとえば、ビニ本編では裏本を売ってでも拡大させて、とにかくビジネスの成功を目指していたが、ビデオ編に入ってからは裏はやらなかったことに関して、なにか信念や考えがあってのことだったのか、なにもわからなかった。
いきなりハワイに行きはじめるのも、川田が「暴走」と言っていたが、結局釈放後も村西にどういった考えがあったのか説明されない。
このあたりは、実話のエピソードをならべて無理やり繋げているから起きていると思う。
エピソード単体ごとは面白いのが、物語全体としての軸がない。
そういう部分は、フィクションでもいいからスッキリさせてほしかった。
演技の凄み
村西とおる役の山田孝之
黒木香訳の森田望智
この2人の役の憑依っぷりは圧巻。
森田望智は、なんなら黒木香本人がAVデビューしたのと同じくらいの覚悟を持って黒木香役を演じているんじゃないだろうか。
表面的な意味合いで言っても、裸を見せて疑似本番をしているという点では本物のAV女優と変わらないわけだし、
伝えたいこと、魅せたいこと、そういう深い部分でも、黒木本人と通づるところすらもあったのかもしれない。
まぁ実際のところはわからないけど、ああいう濡れ役はAV女優がやってるのかなぁとか安易に考えてしまうけど、ガチの女優が覚悟を持って挑んでいると思うとなんか凄いよね。
AV女優を馬鹿にしているわけではないけどさ。
おわりに
全裸監督、間違いなくこの動画コンテンツ業界に衝撃と影響を与える一作である。
8話は少し長かったが、5話くらいで2時間映画では伝えきれないボリューム感の、それでいて映画のクオリティが5時間続くような作品がこれから増えてくるかもしれない。
シーズン2もすでに決定しているらしい。
Netflixの今後に目が離せない。