Mリーグ2020シーズン 11/20(金)第2回戦にて、とある事件が起きた。
U-NEXT PiratesのASAPINこと朝倉康心プロが、親番リーチ中に誤ツモ発生をしてしまい、アガリ放棄ノーテン扱いとなった。
正確には誤ツモ発生をしたことをきっかけに得意のネガティブが最高潮に達し、ASAPIN自身の進退をほのめかすような発言をしてしまった。
本記事では、この事件について私なりの見解を述べたいと思う。
ASAPIN 誤ツモ事件の内容
發發發12344789p78s
当該の局の4巡目、ASAPINはこの形で先制リーチを行った。
待ちは69s。
いわゆる”ふつうの”両面待ちだ。
10巡目に6ピンをツモってきたところで事件が起きた。
6ピンと6ソウを間違えた、あるいは69s待ちと69pを間違えてしまったのか、ここで「ツモ」と発生をしてしまう。
Mリーグでは今までもノーテンリーチや少牌は割と発生してきたが、誤ツモはおそらく初めてだったため審判もあたふたw
裁定は、倒牌前なのでアガリ放棄+流局時ノーテン扱い(ノーテンリーチでないことを確認するため手牌確認のみ行う)となった。
ASAPIN 誤ツモ事件の見解
麻雀の能力には様々なものがあり、その分類方法も様々考えられると思うが、
あるひとつの見方としては、大雑把に以下の2つに分類することができる。
- 打牌選択を決定する能力 (打牌選択の決定に影響する要素を把握し、思考し、結論づける)
- 瞬間的な計算能力
1は、手牌、捨て牌、(+手出しツモ切り)といった打ち手が平等に獲得できる情報から、目的を達成するために最善の打牌選択をする能力である。
※目的…フリーなら収支を最大にする、Mリーグなら年間チャンピオンになる といったその場における最終的な目的。間接的にはその半荘の着順上昇などとなる。
※打牌選択…広義の打牌選択。鳴き判断・リーチ判断・暗槓判断なども含む
2は、具体的には手牌を見てアガリ牌やアガリ点数を瞬時に把握する能力・手出しツモ切りを記憶する能力などである。
1と2はかなり性質が異なっていて、1は勉強や経験によって際限なく上昇可能であり、また基本的には天井がないと考えられているのに対して、2はかなり生まれ持った素質に影響されやすい。
たとえば他家のアガリ形を見てコンマ数秒で跳満か倍満かわかる人って結構いるけど、できない人にとっては何故そんなに一瞬でわかるのかが理解できないものだ。
もちろん暗記で対応できる部分も相応にあるのだが、(たとえばチートイツモは1600・3200、ドラがあったら跳満、さらにドラがあったら倍満のようなものはそれ自体を暗記していて飜数を数えない)明らかに人によって積んでいるエンジンが違うというのは否めない。
清一色なども、基本形の暗記は前提としても応用形を瞬時に把握できる力はある程度のエンジンがないと難しい。
また、1はネット麻雀とリアル麻雀で求められるものが基本的に同じであるのに対して、2はネット麻雀ではほとんど必要のない能力である。
ASAPINがネット麻雀出身だからうんぬんという話をしたいわけではない。
ただ、ASAPINという選手は1の能力はプロの中でもトップレベルだが、2のレベルはそこまで高くない。
単にそういう話なのだと思う。
2の能力は、所作のスムーズさだったり、パット見のかっこよさに直結するので、確かに麻雀プロとしてはあるとめちゃくちゃ有利だし、逆にないと気になってしまうのは凄く分かる。
素人が雀荘で遊びで打つだけでも、アガリ形が瞬時にわからないと恥ずかしい気持ちになるものだ。
おそらく本人もこのことを自覚していて、プロとしては2の能力も高くあってしかるべき、と考えておりそれゆえに進退ほのめかし発言などをしてしまったようだ。
しかし、麻雀の本質はやはり1の能力であるのも確かだとは思う。
麻雀牌、麻雀卓の不完全さから発生する余計な要素を排除するべきだという考え方を持つ人も結構いる。
鳴きが入ったときに先ツモしてた人に情報が行ってしまったり、
山の牌がめくれてしまうこと、
などなど。
1の能力だけを純粋に競える形を求めていくと、どちらかといえばネット麻雀に近い形になる。(今のネット麻雀はラグなど特有の問題もあるが)
今回の件を通して、ふとそんなことを考えたりした。
自分自身も、リアル麻雀派ではあるが、1の能力を高めるのが好きで、2の素質はあまりなく、2のための練習するのはしんどいと思う派だったりする。
まぁ要するに、周りのプロにしろ天鳳民にしろASAPINが1の能力でずば抜けていることは分かっていて、多少2の能力が低いことによるヒューマンエラーがあってもその信頼が崩れるようなことはないと思う。
いやむしろ、
1の能力が圧倒的に高く、2の能力がそこまででもないプレイヤーが後ろめたい気持ちにならずに報われる世界になってもよいのではないか。
今の麻雀プロの世界はそうではないが、
形に強い素質を持っている者のドヤ度合いが高く、本質だけしか極められない者は恥ずかしい思いをするのはいたたまれない。
まぁ現実問題として、誤ツモや錯チーに関しては、わりと対策のやりようもあると思うので、努力して頑張ってほしいと思います。
P.S. ASAPIN本人も麻雀は失敗して学ぶものと言っていたらしいぞ。
以上。